近年、JTPSでは全社的にDE&I※の取り組みを推進しており、熊本支店ではその中でも「女性が働きやすい環境づくり」に力を入れています。そして、その旗振り役を担ってきたのが、内田さんです。「女性が働きやすい職場は、結局、みんなが働きやすい職場になる」そう語る内田さんに、実際の取り組みや、その根本にある想いを聞きました。

DE&I⇒Diversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包摂性)の頭文字をとった言葉
Diversity(多様性):多様な属性、価値観や考えの人財がいることが受け入れられていること
Equity(公平性):多様であること(違い)による不均衡が起きないように、公平性を追求すること
inclusion(包括性):組織の中でそれぞれが活躍できること

プロフィール

内田 貴美子 (うちだ きみこ)
2009年入社 熊本支店 業務担当 主任

「女性だから」を、意識しなくていい職場にしたい

私がこの取り組みに力を入れたいと思った背景には、自分自身の経験があります。私はもともと、住宅メーカーや医療機関といった、女性の多い職場で働いてきました。前職では、「女性だから」と意識されることなく、一人の社員として仕事を任されていました。

ところが、転職して熊本支店に入った当初は、女性がとても少なかった。だからでしょうか、何かと気を遣ってもらう場面があって、今振り返ると、申し訳なさに近い違和感がありました。もちろん、周りの方々は親切心からで、悪気は一切ありません。それでも、もっと自然に、誰にとっても居心地の良い環境になればいい——そう思ったのが、原点です。

全社的な取り組みとして、2025年度は「女性の働きやすさ」がフォーカスされていましたが、私自身は「女性が働きやすい職場は、結局みんなが働きやすい職場になる」という考え方を大切にしています。女性のための取り組みのように見えて、職場環境を整えるという発想を持つことは、全員にとっての働きやすさにもつながっていくと考えています。

肝心の「女性の働きやすさ」という点では、採用・環境整備・意識醸成の3つを中心に取り組んできました。まず、採用という「入口」を広げて女性の母数を増やすことです。ただ、単に数を増やせばいいというわけではありません。同時に、長く働き続けられるように現場の環境を整えること。そして、職場の意識を育てていくことにも並行して取り組みました。当面の目標は熊本支店で働く人の3割が女性になるということです。

応募の半分が女性に――働く女性も、過去最多の14名に

まず着手したのが、比較的すぐに動き出せる「採用」の強化です。そして、そもそも応募してくれる女性が増えなければ、採用数も増えません。

最初に見直したのが、職種の見せ方です。例えば、フォークリフトオペレーターなど、女性が活躍できる仕事を、一つの職種として切り出し、具体的な仕事内容が伝わるように工夫しました。求人ページには、女性が働く様子を動画で掲載し、採用パンフレットも新しく作りました。女性社員の声や、育休の取得実績も、そこに明記しました。さらに、熊本県の「女性の社会参画加速化宣言」にも参画し、女性活躍を推進する企業として対外的にもアピールしました。

こうした積み重ねの結果、応募者に占める女性の割合は、30%から52%まで増えました。求人ページの動画がきっかけで応募してくれた方もいます。今では、これまで女性のいなかった持ち場にも配置が広がり、フォークリフトオペレーターとしても4名の女性が活躍しています。支店全体の女性社員は14名となり、過去最多になりました。
https://youtu.be/K8HYR1G5Y8k?si=I4b6k5nqz2wRG-1v

設備や道具、細かい配慮で「働きにくい」をなくしていく

採用を強化する一方で、入社したメンバーが安心して働き続けられるよう、現場の環境整備にも力を入れていきました。

まず取り組んだのは、日々の働きやすさに直結する細かな環境整備です。トイレには生理用品を常設し、必要なときに気兼ねなく使えるようにしました。また、「生理休暇」についても、男性上司には伝えづらいという声を受けて「ウェルネス休暇」という名前に変え、心理的ハードルが低くなるように見直しました。

特に実感が大きかったのが、女性用シャワー室の整備です。葉たばこを扱うため、工場内は少なからず粉塵が舞います。夏場は特に、汗と粉でべたつきやすくなりますが、女性はメイクをしていることも多く、顔をバシャバシャと洗い流すことも簡単ではありません。だからこそ、シャワー室を利用することで気持ちよく働けるようになるのではと思っていました。

女性用のシャワー室自体は以前からあったのですが、利用率は低く、備品などもなく、半ば放置されているような印象でした。そこで、ナノバブルのシャワーを導入し、マットやドライヤー、脱衣スペースもきれいに整えました。入口の鍵も、より安心感が出るよう、暗証番号式の鍵に付けかえました。安心して使える場所としてリニューアルすることで、心理的にも以前より利用しやすくなったと感じています。

また、日常業務の中で改善に力を入れたのが、重いものを扱う際に身体への負担を軽減する補助具の作成です。保全担当に相談しながら、持ち手部分を何度も試行錯誤して、改善を続けています。

もともとは、女性が働きやすい環境づくりの一環として始めた取り組みですが、重量物を扱う作業は男性にとっても身体への負担が大きいため、現在も補助具の改善を続けています。これも、「女性の働きやすさ」をきっかけに始まった改善が、結果として現場全体の働きやすさにつながっている取り組みの一つです。